アメリカの現場から学んだリアルな経験、大切なマインドセット、Willieさんが考える、海外で通用するグローバルなメイクアップアーティストになるには~
ニューヨークで活躍するメイクアップアーティストWillieさんへインタビューしました!
ニューヨークを拠点に、映画やファッションの現場で活躍するメイクアップアーティスト・Willieさんにインタビューしました。海外でキャリアを築くまでの道のり、言葉や文化の壁をどう乗り越えてきたのか、そして未来のアーティストへのメッセージなど、美容学生にとって大きなヒントとなるお話をたっぷりお伺いしてきました。
Willieさんの基本情報
Willie Huang(ウィリー・ファン)さんは、ニューヨークを拠点にフリーランスで活動する、台湾出身のメイクアップアーティストです。映画や映像作品、ファッションショーにおけるメイクアップ、ヘアスタイリング、特殊効果メイクを専門としており、ファッションやエンターテインメントの現場でも幅広く活躍しています。
その作品は、Vogue Italia、L’OFFICIEL Arabia、Kaltblut、HUF Magazine、Sicky Magなどの一流ファッション誌に掲載されており、Seven Lions、Eli & Fur、The Cultといった国際的アーティストのミュージックビデオやアルバムカバーにも参加。Netflixで配信された映画『Sin Raices』や『FINDERS K33PERS』にもメイクアップアーティストとして関わるなど、多彩な経歴を持っています。
常に新しい表現を模索し続けるその姿勢は、国内外の多くのアーティストやクリエイターから高く評価されています。

NINJAとの繋がり
今回Willieさんにインタビューをお願いしたのは、NINJAスタッフの知人を通じてご縁をいただいたことがきっかけでした。
アジアからアメリカへ渡り、言葉や文化の違いを乗り越えて現地でプロとして活躍を続けるWillieさんの姿勢に深く共感し、「夢を追うアジア出身のアーティストたちを応援したい」という思いから、今回のインタビュー企画が実現しました。
世界で活躍するメイクアップアーティスト、Willieさんにインタビュー!
ここからは、Willieさんへのインタビューをお届けします。
日本の美容学生の皆さんへのメッセージもいただいていますので、ぜひ最後までご覧ください。
では最初に、Willieさんの自己紹介をお願いします。
はじめまして、Willieです。ニューヨークを拠点に、主にショートフィルムやエディトリアル撮影でメイクアップを担当しています。
最近のお仕事の中で、特に印象に残っているものはありますか?
LAの砂漠で、イギリスのロックバンド「The Cult」の『Vendetta X』という楽曲のミュージックビデオを撮影しました。とてもユニークで、忘れられない経験です。
「Vogue of Woman」という撮影にも携わりました。ファッションやカルチャーを通じて女性を讃えることをテーマにした作品で、とても意味のある仕事でした。仲の良い友人たちと一緒に企画し、お互いのアイデアを尊重しながら、楽しく制作することができました。
また、スマートフォン向けに縦画面で作られるショートムービー(バーティカルフィルム)の仕事も多く手がけています。すごくドラマチックで、時には少し現実離れしたような内容もありますが、感情的なシーンや戦いのシーンが好まれる傾向にあります。そのため、アザや血の表現など特殊メイクの技術が求められることも多く、メイクアップの幅がさらに広がっています。
「これを仕事にしたい」その思いから始まった挑戦
メイクアップアーティストを目指したきっかけは?
メイクに興味を持ったのは高校時代で、美容学を専攻し、メイクやスキンケアについて学びました。早くから「これを仕事にしたい」と感じていたんです。その後、ニューヨークに渡り、まずは語学学校に通ったあと、メイクスクールで本格的なスキルを身につけました。
初めての現場はニューヨーク・ファッションウィークでした。とても緊張しましたが、「これが自分のやりたいことだ」と確信できた瞬間でもありました。
渡米後に驚いたことや苦労したことはありましたか?
正直、あまり期待せずに渡米したので、すべてが新鮮でワクワクしました。ただ、「これは旅行ではなく、学ぶためにきているんだ」という意識は常に持っていました。
一番の壁は、やはり言語でした。フォトグラファーやデザイナーとのコミュニケーションは不可欠なので、言葉の壁は大きなチャレンジでした。
でも、たとえば道に迷って地図を見ていると、知らない人が「大丈夫? 手伝おうか?」と声をかけてくれたりして、すごく親切だなと感じました。それから、ニューヨークは台湾よりも物価がかなり高くて、それにはとても驚きました。
ニューヨークで最初に経験した大きなチャンスを教えてください。
台湾系アメリカ人シンガーのアルバムカバー用メイクを担当させてもらったのが、初めての大きなチャンスでした。お姉さんのように慕っている先輩メイクアップアーティストが、私を信じて任せてくれたんです。
彼女がヘアを、私がメイクを担当しました。とても緊張しましたが、感謝の気持ちでいっぱいでした。どんな仕事でも真剣に取り組むことで、それを見た人が次のチャンスを紹介してくれることがあります。
私のキャリアは、そうやって少しずつ広がっていきました。
成功のカギは「学び続ける姿勢」と「発信力」
ニューヨークで活躍するのに必要なスキルや心構えは?
一番大事なのは、「常に学び続ける」という姿勢だと思います。アシスタントの仕事でも、テストシュートでも、そこから学べることはたくさんあります。
私はどんな仕事にも真剣に取り組み、オープンマインドでいることを心がけています。

日本とニューヨークのメイクスタイルに違いはありますか?
日本のメイクはスキンケア重視で、とても軽くてナチュラル。まるでメイクをしていないかのように、肌が美しく見えるスタイルが多いです。対して、西洋のメイクはコントラストが強く、大胆で表現力が豊か。骨格を強調するメイクが特徴ですね。
私自身も若い頃は、太い眉などのはっきりしたメイクが好きでしたが、今は「ノーメイク風メイク」が大好きです。ナチュラルだけど手間がかかっていて、健康的で綺麗な肌に見えるメイクに惹かれています。
では、ロサンゼルスとニューヨークの業界にはどんな違いがありますか?
違いは大きいですね。10年前はニューヨーク・ファッションウィークがもっと注目されていましたが、今はChanelやVersaceといったブランドがロサンゼルスでショーを行うようになっています。
ニューヨークはエディトリアルやクリエイティブ寄り、ロサンゼルスはグラマラスでセレブ向けのメイクが主流という印象です。
ニューヨークでは、ショーのあとに大勢のメイクアップアーティストが一緒に地下鉄に乗ったり、どこかへ行ったりして、自然と交流が生まれる雰囲気があります。
でも、ロサンゼルスではみんな自分の車で来るので、社交的でないとなかなか仲間とつながりにくいです。私自身はわりと内向的なタイプなので、ロサンゼルスでは人脈を広げることに少し難しさを感じる場面もあります。
チャンスをつかむために意識していることは?
InstagramやWebサイトなど、自分の作品をすぐに見せられるプラットフォームは絶対に必要です。
私は主にInstagramを使っていて、TikTokにはメイクの工程を撮影した動画を載せています。完成形はInstagramに投稿しています。
正直なところ、Webサイトを見たいと言われることはあまりなく、ほとんどの人がInstagramをチェックしたがります。
初めてファッションショーの仕事を得たのは、Facebookでアシスタント募集の投稿を見つけ、自分のポートフォリオとスケジュールを送ったことがきっかけでした。
今でもSNSを通じて、新たなチャンスと出会うことがあります。

支えてくれた人のおかげで困難を乗り越えられた
これまでの中で特に苦しかった時期はいつですか?
コロナ禍のあと、一時的に台湾に戻ったことがありました。しばらくしてニューヨークに戻ってきたときは、仕事を見つけるのが本当に大変でした。
フリーランスは現場にいないと他の人に仕事を取られてしまう。それが現実です。
その状況をどのようにして乗り越えましたか?
先輩のメイクアップアーティスト、Enyuさんが本当に助けてくれました。彼女の仕事に同行させてもらいながら、少しずつ現場に復帰することができたんです。Enyuさんには心から感謝しています。
人に優しくするって、本当に大事なことだと思います。再スタートは簡単じゃないけど、必要なときもある。ロサンゼルスから戻ってきたときも、もう一度最初からやり直しました。
最初からやり直せるとしたら、変えたいことはありますか?
特にありません。すべての経験が今の私を作ってくれたと思っています。辛かったことも、自分が本当にこの仕事を好きかどうかを確かめるための機会だったと感じています。
SNSで他の人と比べて落ち込むこともありますが、「自分の道をしっかり歩いている」ということに集中しています。それだけで十分です。何が起きるかわからないのが、この仕事の魅力でもありますから。
これからのビジョンや目標について教えてください。
最初の目標はO-1ビザ(アーティストビザ)を取得することでしたが、今はグリーンカードを取得してアーティストとしての活動基盤を築きつつ、キャリアを確立すること、そして最終的にはユニオン(映画業界の組合)に入ることを目指しています。
どんなプロジェクトが来ても、一つひとつを大切に取り組んでいきたいと思っています。
不安も迷いも、すべてが未来につながっている!
Willieさんから未来のアーティストにメッセージ
日本には、Willieさんのようなグローバルなアーティストになりたいヘアメイクアップアーティストがたくさんいます。
そんな未来のアーティストに、メッセージをお願いできますか?
「常に学び続ける」という気持ちを持ち続けてください。お気に入りのプロダクトは、まず自分自身に試してから使うことで、より深く理解できるようになります。
自信を持つことも大切です。メイクアップアーティストによって使うものや考え方は違うので、自分の「これだ!」と思えるアイテムをしっかり把握しておくといいと思います。
また、現実が自分の期待と違うこともあります。どれだけ準備しても、実際現場に行ってみたら全然違ったということは珍しくありません。そんなときでも柔軟に対応できるように、心に余裕を持っておくことが大切です。

まとめ
台湾からニューヨークへ渡ったWillieさん。言語や文化、フリーランスならではの不安定さといった壁に直面しながらも、「常に学び続ける」姿勢と自分の感性を信じる力で道を切り開いてきました。
SNSでの発信や丁寧な仕事ぶりを通じてチャンスをつかみ、仲間の支えにも感謝を忘れず、一歩ずつ着実に前へ進んでいく。
日本の美容技術が注目される今、Willieさんの歩みは、どんな環境にいても夢を追うすべての人に、大きな勇気と希望を与えてくれるはずです。
今を生きる美容学生にとって、その姿勢は大きな学びと刺激になることでしょう。